製品に関する苦情・相談事例

紳士シャツの素材表示が綿100%なのに、洗濯しても綿のシワ感が出ない。表示に誤りがあるのではないか。

衣料品平成16年度

綿シャツのシワ感を期待して、綿100%のシャツを購入し、洗濯したが、シワにならない。綿100%ではなく混紡ではないか。表示が間違っているのではないか。

テストの結果

相談品の繊維を一部(以下 I )取り、既存の綿100%の生地(以下 II )を対照品として、側面(写真1、2)と断面(写真3、4)を顕微鏡で検鏡しました。

側面については、対照品と比較しても繊維はリボン状で扁平であり、自然の撚りがかかっているところから、綿の形態を呈していました。

断面については、ソラマメ形の物が認められるため、綿とも思われますが、円形に近い物もあるので、検討する必要がありました。

70%の硫酸に対して、綿は溶解し、ポリエステルは溶解しません。そこで、70%の硫酸と蒸留水(比較対照のための液)へ、 I と II を、各々浸漬して比較してみました。 I も II と同様、70%硫酸に溶解するため(蒸留水には不溶)、ポリエステルではなく、綿と思われました。

FTIR(フーリエ変換型赤外分光光度計)を用い、 I の赤外吸収スペクトルを測定して、 II との比較をしました。図1に示したように、両者の波形は一致しました。

メーカーに対する文書での問い合わせ調査を行いました。綿100%の素材で、維持管理の容易な製品にするため、液体アンモニアによる形状安定加工を施しているとの回答を得ました。

以上のことから、相談品の素材は綿100%であり、加工によりシワの防止がなされていると言えます。表示者に対する調査の折に問い合わせたところ、加工を施していない製品も販売しているとのことでしたので、紳士用シャツは、特性を生かして利用し、別に加工を加えていない製品の利用を考えることも必要だと思われました。また、表示者に対しては、消費者へのそれぞれの場面での案内を更に実施するよう、依頼しました。

(写真1)
相談品の繊維の側面(生物顕微鏡)
(写真2)
既存の綿100%生地の繊維の側面(生物顕微鏡)
(写真3)
相談品の繊維の断面(生物顕微鏡)
(写真4)
既存の綿100%生地の繊維の断面(生物顕微鏡)


(図1)
I が相談品の赤外吸収スペクトル、 II が綿100%生地の赤外吸収スペクトル