変色し、風合いが変わってしまったスーツ

更新日:2015年10月8日

クリーニング

平成26年度

相談内容

外国で購入した男性用スーツをクリーニングに出したら、変色し、風合いが変わってしまった。クリーニング事業者は、生地の摩耗が原因であり、クリーニングが原因ではないと主張している。原因を知りたい。

テスト結果

観察

(1)目視による観察
目視では、上着の「襟の内側」「前身頃の一部」「袖の肘の部分」などが、ズボンは、「背面の上部」などが、周囲よりも白く見えました。

(2)デジタルマイクロスコープ装置による観察
デジタルマイクロスコープ装置を使って、使用上の影響が少ないと思われるポケットの中の生地と、色や風合いが変わった部分を比較観察してみました。

結果

①は表面に多数の毛羽があります。②③は①より少なくなっています。①は使用による摩耗が少なく、②③は使用すると摩耗しやすい部分でした。

つまり、多数の毛羽が独自の風合いを作り出しているため、毛羽が脱落したことで風合いが変化し、目視では白く見えたと推定されます。



①使用上の影響が少ないと推定される部分(ポケットの中)
②強く、白くなったとされる部分(右前身頃の一部)
③弱く、白くなったとされる部分(右前身頃の一部)

アドバイス

衣類は、原料の製造、製糸、生地の作成、縫製と多くの過程を経て出来上がります。トラブルの要因は色々考えられます。今回は、使用による毛羽の脱落が風合 いに影響した例です。また、相談品は、外国の規格、基準で作成されていました。気候、風土そして歴史も日本とは異なるため、必ずしも日本の基準と一致して いるとは限りません。この様なことも考えた上で、衣類を利用しましょう。

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